ハザール王国の謎

f:id:QP92:20240414222940j:image

ハザール王国という国が存在した。 

7世紀から10世紀にかけて、黒海カスピ海北岸に栄えた国である。

この国がある時、頭を悩ます問題を抱えた。

それは、東に位置するアッバース朝からはイスラム教に改宗するよう迫られ、西に位置する東ローマ帝国(ビザンチン帝国)からはキリスト教へ改宗するようにと。

そして、どちらの国も敵に回したくなかったハザール王国は折衷案としてユダヤ教を選び改宗したのだ。

ユダヤ教キリスト教イスラム教の神は同一であるからだ。

だからこそ、ハザール王国はユダヤ教に国家ぐるみで改宗したのだ。

が、本当にユダヤ教徒になったのは支配者層に限られていたと考えられていた。

しかし、民衆レベルにもユダヤ教は浸透していたのではないかとの説もある。

実際に、スペインに住むユダヤ人とハザール王国の商人との間で交わされた手紙が発見されている。

紀元70年に古代ローマ帝国からエルサレムを滅ぼされたユダヤ人の多くはその後、スペインに移り住んだ。

ユダヤ人には2種類があり、白色系ユダヤ人をアシュケナジム、褐色系ユダヤ人をセファルディムと呼ぶ。

そして、この白色系ユダヤ人、つまり、アシュケナジムがハザール人の末裔だとする説があるのだ。

もし、この説が本当だとしたら大変なことになる。

なぜなら、旧約聖書に書かれている神からのユダヤ人への約束、いつかはパレスチナの地に帰れるというシオニズム運動の理論的根拠がなくなってしまうからだ。

実際に、イスラエルの正当性を認めないアラブ諸国ではこの説が強く支持されている。

私は昔、イスラエル人の女性と付き合っていたことがあるのだが、彼女によると「イスラエル人はハザール人だ!」とペンキか何かでイタズラ書きされるという事件がテル・アビブであったそうだ。

アーサー・ケストラーという有名な作家は自らが白色系ユダヤ人、アシュケナジムであるにも拘らず、アシュケナジム=ハザール人の末裔という説を支持した(「ユダヤ人とは誰か 第13支族」)。

また、フロイド、マルクスアインシュタインなどもアシュケナジムである。

更に、今日の世界を裏で牛耳っているとされるロスチャイルド家やロックフェラー家もアシュケナジムだ。

もちろん、自分はこのいわゆる陰謀説を100%信じるワケではない。

ネット上では、アシュケナジム=偽ユダヤ人、ロスチャイルド家&ロックフェラー家=偽ユダヤ人と決めつけている困った人たちがかなりいる。

ちなみに、高校教育ではハザール王国は全く触れられない。

これぞ歴史のミステリー。